ラバウルで火山灰の上を走る

前々回ご紹介した火山・花吹山の1994年の大噴火で、ラバウルの町は5mもの灰の下に埋もれました。
それは町を回復することができないほどのダメージで、このとき州都がラバウルから30km離れた町ココポに遷されたほどです。
下の写真は、ラバウル空港があった場所。撮影地点から正面の花吹山に向かって1本滑走路が延びていたそうですが、今は何の面影もみつけることができません。人が立ち入ってはいけない惑星に迷い込んだような錯覚をおぼえます。

あたりは一面灰色の世界。人間の作ったものはすべて灰の下にのみこまれました。
でも、大噴火から16年のときを経たいま、草木はたくましく芽吹き自然の色を取り戻しつつあります。
人って地球からしたら本当にちっぽけで無力な存在なんだなぁ。この思いがすぅ~っと心に入ってきます。


たまに火山見物や戦跡めぐりの観光客が訪れるだけのゴーストタウンと化した町の中で、営業を続けているハママスホテル(旧ラバウルホテル)を訪ねました。
当館は、大噴火前は州都ラバウル随一のホテルだったそうですが、いまとなっては「ひっそり」という表現がぴったりなほど静かにたたずんでいます。

ラバウル。逆らうことなく悲しむことなく大自然の営みを受け入れ、無比の美しさを保つ町。
人の気配よりも自然の偉大さを強く心に刻んだ「ミュートな町」でした。